● 題名:
● 本文: たまたまBSにチャンネルを合わせたら映画をやっていた。 お、日本映画かと見てみるとなにやら雪景色と谷川の流れ、雪解けの川縁の フキノトウが美しい。 農村の自給生活が繰り広げられておもわず引き込まれてしまった。 江戸時代の東北の姥捨てものだった。60歳になると男女等しく家を出て「蕨野」 という場所で共同生活をしながら死期を待つというものだ。畑作は禁止され日々の 糧を日々の労働で得て険しい山道渓谷を往来する厳しさだ。 古文調のセリフ語り。自然描写もはじめのうちはおおっと思ったが だんだん 疑問点が目立ちはじめた。 1)役者の体格、肉付きがとても飢えた寒村の老人とは思えない。 2)四季の描写が杜撰。 なんで彼岸花が赤々と咲いてからヒグラシが鳴く? そのあとにツクツクボウシが鳴いて まったくようわからん。 夏の終わりの森の植物の葉っぱの色は あんなんではない。 3)老婆がトチの実を 椎の実と言う。 これにはのけぞった! 4)老婆が川から無造作にイワナとヤマメを掴む。 あの姿勢と流れでは無理! 5)老人たちの家の前の平地に無数の帰化植物が・・・・ 6)雪の中、わなを仕掛けに行った男の足跡がまるで 何人もの人間が踏み込んだ道の ようになっていた。整然と。 とまあ いじわるはこれぐらいにしておいて 田植えのシーンはうっとりするほど美しかった。涙が出そうだった。 シュレーゲルアオガエルののどかな歌声。遠くで鍬を振り上げ畑を打つ女の人の姿。 飢えと間引き。村を維持するために身をひく老人たち。 生きることへの執着。未練。生まれてくる子孫への思い。 ふしぎと無宗教なのも面白かったし、ファンタジックな雪の中にはしゃぐ 老人たちの魂も感動的だった。秀逸なシーンだ。 実写の難しさ。この映画、祈祷や方言などにはきっちりアドバイザーが いたようだが 肝心の自然描写にきちんと監修者をつけないとダメだなあと思ったよ。 日本の原風景はそんなもんじゃないと思うよ。 老人たちはもっと知恵があったはずだし もっと狡猾なはず。 ワイルドでエゴイストでユーモラスでエロかったはずだぞ。
● 暗唱番号: